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中国青海省アムネマチン山麓−7

7月16日、存分にM・フォリドゥラの青色を楽しみ、アムネマチン展望の目的を果たしてマチンの町を後にしました。次の宿泊地の温泉までは260kmの道のりです。
一昨日に訪れた雪山郷を通り、緑のビロードを敷きつめたような4000m級のステップ台地をバスはひた走ります。
今朝方、建物を揺さぶるような激しい雷がなって、天候は不安定です。濁って増水している橋のない川を、バスは何度もマフラーを外して渡りました。
3分の2以上進んだところで大きな川に出くわしました。川幅は20mくらいでしょうか。現在架橋工事中でう回路に橋はありません。車高の高いトラックがかろうじて渡って行きます。
もう引き返すこともできず、バスは川を渡りはじめました。こんなとき、意味がないと思っても少しでも軽くなるようにと腰を浮かすものです。
みんなの祈りもむなしく、まん中あたりまで進んでバスはエンストしてしまいました。運の悪いことは続くもので、今まで晴れていた空が急に黒雲に覆われ、凄まじい雹まじりのスコールが降ってきました。川は目に見えて増水してきます。
西寧から付き添ってきたガイドの張さんがたばこを持って工事現場に走って行きました。中国では急場しのぎにたばこが活躍します。なんとか頼み込んでショベルカーで岸まで引き上げてもらいました。
ところがどうやってもエンジンが動きません。見渡す限りガソリンスタンドはおろか、建物すら見当らない地です。バスの運転手が川を渡ってきたトラックに何やら相談していたとき、後続のトラックがそのトラックに追突してしまいました。水を吸ってブレーキが効かなくなっていたとのこと。
幸いけが人はなく、我々のバスは難を逃れましたが状況は最悪です。野宿を覚悟したとき、救いの手を述べてくれたのが、後からやってきた工事責任者の魏氏。運転手と二人、悪戦苦闘しているそばでなすすべもなく我々は車内で待ち続けました。2時間ほどでなんとか車は動くようになったものの、もう夜の7時になっていました。日暮れが遅い中国ですが宿泊施設のある温泉までは80kmもあります。それにまだ自力走行が不安なバスです。
見かねた魏氏が、20km先の内務省の施設(はっきりしないが政府関係者用の宿泊施設らしい)に泊れるように手配してくれました。花石峡という町にあるその施設は本来は外国人は泊められないとか。早速警察官が来て、添乗員とガイドの張さんが事情聴取を受けました。旅の目的と事情を話すと快く歓迎してくれたということです。
冬は−30度以下になり、夏でもペチカの燃える部屋の暖かいベッドで眠れない一夜を過ごしました。

M・フォリドゥラ
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M・フォリドゥラ
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トリカブトの仲間
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ウサギギクの仲間
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エーデルワイスの仲間は種類が多い
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橋のない川を前にしたときはまだ晴れていた
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上流方面に目をやったら雨雲が迫ってくる
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エンストして川の真ん中に取り残されたバスをスコールが襲う
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Commented by redyone at 2007-03-11 23:57
とても綺麗な花
すがすがしい色ですネ 私も一度行ってみたいそして花を手にとって見たいですね・・・夢の夢です
Commented by aoikesi at 2007-03-12 10:24
僻地の旅はそれなりに覚悟がいりますし、体力も必要ですから。
Commented by yokko812 at 2007-03-12 16:51
こんにちは♪
素晴らしい自然が待っている辺境の地はやっぱり命がけという言葉が大げさではないですね。
便利になって誰もが行き易くなれば、自然も急速に破壊されるでしょうし・・・
私はやっぱり家でaoikesi さんのブログでドキドキワクワクの見物です。。。(^^)
Commented by aoikesi at 2007-03-13 08:37
yokkoさん
この地も今は橋も道路も完成して簡単に通過できるということを聞いています。中国の開発はめざましいというか、すさまじいというか。
Commented by shiromati at 2007-03-13 13:07 x
4000m級の所を走っているバスに乗っている事すら驚きなのに、
アクシデントの数々、決死の覚悟(ちょっとオーバー?)ですね。
Commented by sanenbana at 2007-03-13 19:19
すごいすごい!映画を観ているような名場面でした。感動しました。
Commented by howdygoto2 at 2007-03-14 10:43
おはようございます。
日本では見られない雄大な風景ですね。
でも文を読むと、厳しい自然なんですね。
スコールを降らせる黒い雲が印象的です。
Commented by aoikesi at 2007-03-15 08:32
コメントありがとうございます。
書ききれなかったエピソードがまだあります。エンストした後、バスは自力走行が危ないということで、工事用のダンプカーで10kmくらい牽引してもらったのです。宿泊施設で我々が休んでいたとき、バスの運転手は徹夜でエンジンを直したそうです。頭が下がります。
僻地の運転手は技術的にも精神的にも強くないといけないんですね。

ガイドの張さんの話では、現場責任者の魏氏はお礼を受け取らなかったということです。2時間もかけてエンジンをなおしたり、牽引のダンプ代、手配してくれた宿泊所代、どれもがかれの好意で行われたことです。
今の中国をみていると利益主義重視、が感じられますが個人個人をみると人情にあつい人の国という気がしました。
ちなみに魏さんは金正日に似てたんですよねえ。
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by aoikesi | 2007-03-11 11:13 | 中国青海省 | Comments(8)